ネットワーク上のサーバーにデータを置いて、PC、iPhoneなどのスマートフォン、iPadなどの間で情報を共有出来るクラウドサービスの代表格、Evernoteが人気です。
先日もこちらのエントリーを書きました。
今回は、このエントリーには書かなかった、EvernoteをiPhoneとiPadで使う場合のWebクリップ機能について、他のサービスと比較してみます。
そもそもWebクリップって何?
Webクリップという言葉自体が、まだ一般化していないと思いますが、ここでは、気に入ったWebの記事などを保存することを指します。Safariなどのブックマークが、気に入った記事などのURLを保存するのに対して、Webクリップでは記事全体を保存します。
また、ブックマークが階層化したフォルダによる管理であるのに対して、Webクリップでは、タグによる管理が可能なものも有ります。そのタグによる検索や、全文検索によって、見つけたい記事をキーワードで検索出来ます。もちろん、タグリストから手繰ることも出来ます。
どんなサービスがあるの?
EvernoteのWebクリップ機能相当の機能は、InstapaperやRead It Laterが先行して提供しています。iPhoneやiPadでTwitterやRSSリーダーをお使いなら、名前くらいは見たことが有ると思います。
こちら、今回の主役です。
こちらは、有料版、無料版と有りますが、共にiPhoneとiPadの両方に対応しています
Webサイトはこちら http://readitlaterlist.com/
Instapaperは現時点では有料版のみiPad対応です。
Webサイトはこちら http://www.instapaper.com/
Evernoteの無料版がお気に入りに指定した記事(ノート)のみがオフラインで読めるのに対して、InstapaperやRead It Laterは、有料版でも無料版でも、一度同期を取れば全ての記事がオフラインで読めます。
Evevnoteも月額課金サービスに登録すれば、全てオフラインで扱えるようですが、仕事でバリバリ使わない限り、無料で十分でしょう。
http://www.evernote.com/about/intl/jp/premium/
詳しくはこちら。
では、Webクリップ機能について、Read It Later、InstapaperとEvernoteを比較してみましょう。
Read It Laterを使ってみる
まずは、有料版では何が出来るようになるのか。
- Tap to Save Bookmarklet
通常のブックマークレットは、表示されているサイト全体を保存するのに対して、タップ(クリック)した箇所だけを保存してるれるブックマークレットがサポートされます。
僕的には、これよりも、表示しているサイト全体の何階層か下まで、自動的に保存してくれる機能が欲しいです。或いは、ひとつの記事が何頁かに別れている場合に、複数頁をまとめて保存してくれる機能。
- Delicious、Facebook、Twitter、Google Readerなどとの連携。
- 画面の回転ロック機能
- フルスクリーン表示
他にもいろいろ有るようですが、さしあたって、無料版から始めて困ることは無さそうです。
こちら横表示です。iPadでは、横表示にすると多くのアプリがこのようにデザインが変わります。
では、元のWebの表示とクリップとを比較してみます。
こちらは、iPadで表示したところです。
iPhoneでも表示してみます。
iPadでもiPhoneでも、元のWeb表示をよく再現していることが分かります。ですが、検索しようとして問題が有りました。
キーボードを英語モードにしておけば検索窓が表示されるのですが
iPadでは、日本語モードにすると、検索窓が隠れてしまいますし、無理矢理キーボードを入力してみても検索出来ませんでした。
iPhoneでは検索窓は隠れませんが、日本語で検索出来ないことに代わり有りません。
どうやら、現状では日本語検索が出来ないという致命的な問題が有るようです。
タグは勝手に作成されて分類されるのですが、自分でタグを設定する方法が見つかりません。これも不便です。
Webをクリップするには、ブラウザでWebを表示した状態でブックマークレットを使います。
ブックマークレットの作り方はアプリに従えば出来ると思います。
iPadかiPhoneならMOBILE SAFARI、PCならYOUR COMPUTERを選んで、指示に従って下さい。
Instapaperを使ってみる
Instapaperは現時点では有料版のみiPad対応です。
有料版の一つの利点は、フォルダによる管理が出来ることですが、情報が増えてくると、フォルダによる管理は無理が出てきますから、あまり必要とは思いません。
もう一点、無料版はバージョンが古いので、有料版で解決済みのバグが直っていないかもしれません。
iPadでの起動画面です。文字化けが気になります。
横表示にすると、こんな感じ。
クリップを表示するとこんな感じです。デザインが崩れていますが、内容を確認するのに問題は有りません。それに、こちらの方がデータサイズがかなり少なくて済みそうです。
フォルダは自由に作れますが、検索機能そのものが無いようです。これでは、溜め込むだけで、後から見返せなくなりそうです。
こちらも、クリップするにはブックマークレットを使いますが、作り方はInstapaperのサイトで案内されています。
最後に、Evernoteではどうか
Insatapaper並に崩れていますが、中身を確認するには充分というか、むしろRead It Laterよりも見やすい。
本文でもタイトルでも日本語検索がバッチリ!
表示した鉛筆マークを押すと、追記やタイトル編集、タグの追加などが出来ます。
残念ながら、現状ではiPadやiPhone向けのブックマークレットが提供されていませんが、こちらに紹介されていたものを使ってみました。
http://matatabi2.wordpress.com/2009/07/18/iphoneでもevernoteのwebclip/
但し、Instapaperなどと比べると、クリップするのに結構時間がかかります。標準でもっと高速に対応して欲しいところです。
注)この方法でクリップすると文字化けすることが有ります。Shift JISが化けるらしいですが、今のところ、対処法が見当たりません。化けた場合は、PCでクリップするしか無さそうです。
頻繁に使いそうなクリップはお気に入りに登録しておきましょう。そうすれば、オフラインでも見ることが出来ます。
まとめ
Evernoteは
- 自由にタグ付けした整理が出来る
- 表題、タグ、本文を日本語で検索出来る
という、Read It RaterやInstapaperには無い、優れた、整理、検索性が有るので、データベースとして最適です。
Read It Raterには、Web表示の再現性がとても良いという特徴が有りますが、あまり重要な問題とは思えません。
こうやって比較してみると、僕にはRead It RaterやInstapaperを選ぶ理由が見えなくなってしまいました。これからは、Evernote一本で行きます。
RSSリーダーやTwitterクライアントに、Evernoteに保存する機能が追加されていくと、もっと便利になりますね。是非お願いしたいです。
追記
iPadにはお気に入り機能が有りませんが、一度表示した内容は、キャッシュに残っていて、オフラインでも見ることが出来るようです。