なりなり日記

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突発性難聴治療まとめ

私が突発性難聴になってから、治療を終えるまでの過程をまとめておきます。

残念ながら全くといっていいくらい回復しませんでしたが、この情報が少しでも同じ病気に罹られた方のお役に立てればと思います。


【目次】


発症から治療にいたる経緯

2008/10/24 突然の発症!左耳が全く聞こえなくなった!

ゴルフのプレー中に突然発症し、左耳が聞こえなくなりました。
全くの突然の発症であり、それまで何の予兆を感じたことも無りませんでした。何のきっかけもなく、まさに、一瞬にして聴力を失ったのです。

夜には、平衡感覚の大幅低下、回転性のめまい、嘔吐を併発し、翌日にかけて何も食べられず、ずつと寝込んでいました。

2008/10/26 回転性の眩暈と吐き気を併発!

父の友人の紹介で、御茶ノ水に有る「日大駿河台病院」で診察を受けました。25日は日曜日で、聴力検査が受けられないとのことだったので、一日待って来たのです。
左耳は突発性難聴による重度の難聴、あるいは聾との診断を受けました。全治の可能性は低いとのこと。聴力検査では、全ての周波数帯域でscale outでしたが、右耳は正常でした。

嘔吐は止まっていたが、回転性のめまいと平衡感覚の低下は変わらず、1人では、まともに歩くことも出来ません。ボーッとして、アタマも回りません。

すぐに入院して、治療開始しました。

2008/10/26〜11/6 日大駿河台病院に入院

ほぼ毎日、ステロイド(デカドロン)の点滴を受け、血液をサラサラにするデフィブラーゼの点滴も3回受けました。
薬は、めまいの改善薬アデホスコーワ、神経麻痺の改善薬メチコバール、血流改善薬カルナクリンを毎食後に服用しました。
効果が出なかったため、こちらからお願いして、後半は、メニエール病薬イソバイトと抗ウィルス薬バルトレックスも服用しました。

あまりに重症なため、脳腫瘍等の疑いもあり、頭部MRI検査を受けましたが、幸い、異常は有りませんでした。

聴力の回復は全く無く、平衡感覚も低下したままでしたが、ここで出来る治療は、もう無さそうなので退院することにしました。

「東京医科歯科大病院」にセカンドオピニオンを求めましたが、日大病院の治療は一般的なもので問題は無く、発病2日後の治療開始も、十分に早いとのことでした。
効果が上がらないのは、初期の症状が重症なためで、この場合、治癒は難しいのだそうです。

2008/11/7 荏原病院で受診

日大病院の紹介で、というか、新聞で突発性難聴に効果が有る高圧酸素療法が受けられるという記事を見たので紹介状を書いてもらって、大田区の「荏原病院」で診察を受けたところ、2週間入院しての治療は可能だが、回復の可能性は0%との、厳しい宣告を受けました。

初めからここに来ていれば、以降受ける治療を含めて、デフィブラーゼ以外は最初の2週間の入院で受けられたのですが、まあ、仕方ないです。病院を探している余裕など無かったのだし、ここに来たからといって、治ったとも限らないですから。

ここの地域医療連携センターで、通院で高圧酸素療法の受けられる「横浜労災病院」を紹介してもらいました。可能性0%と言われての更に2週間の入院は耐えられないので。

2008/11/10〜12/10 会社を休んで横浜労災病院、かげしま整形外科、一掌堂治療院に通院

今度は荏原病院で紹介状を書いてもらって、新横浜にある「横浜労災病院」で診察を受けたところ、荏原同様、治癒の可能性は0%とのことでしたが、後悔しないように、やれるだけやってみることにしました。ここで、平日20間連続で、高圧酸素療法を受けました。

同時に、同院で紹介された、というか、希望して紹介してもらった、横浜にある「かげしま整形外科」で星状神経節ブロックを21回、新橋にある「一掌堂治療院」でのハリ治療を35回受けました。

この間、ほぼ毎日、朝から、自宅、新横浜、横浜、新橋の間を電車で移動しました。最初は、電車に乗るのさえ、かなり辛かったですが、リハビリになっていたと思います。

これらの治療の成果か、単なる自然治癒かは不明でしたが、完全に聞こえなかった左耳が、低音だけは少し聞こえるようになりました。中、高音も検査の数値上は改善がありましたが、人の声は、全く聞こえるようにはなりませんでした。

2008/11/22 慶応大学病院で受診

「慶応大学病院」で診察を受けて、ステロイド鼓室内注入による治療が出来ないか相談しました。しかし、過去に効果が上がっていないわりに、鼓膜に開けた穴が修復しないリスク、中耳炎などを併発するリスクが少なからずあることから、やめた方が良いとのアドバイスを受けました。

丁寧に、納得のいく説明をしてもらったので、信じることにしました。ここでも、どんな治療をしても、治癒の可能性は殆ど無いと告げられました。

2008/12/12 1月半ぶりの出社

以降しばらく、会社帰りに、星状神経節ブロックとハリ治療を、それぞれ、週2回ずつ続けました。

2008/12/26 星状神経節ブロック終了

合計24回で終わりにしました。首の根元に深く注射針を差し込むこの治療には、どうも不安を覚えたためです。

突発性難聴患者の救世主かもしれない上頚神経節ブロック - なりなり日記

2009/1/29 横浜労災病院で最後の診察

「横浜労災病院」で1月ぶりの診察を受けました。若干改善してきていたかに見えた、中、高音がscale outに戻ってしまっていました。
この日の発症3ヶ月後検診をもって、病院での治療は終了との通告を受けました。処方されていた、アデホスコーワ、メチコバールの服用も、効果無しとして終了となりました。

この日、かすかに持ち続けていた希望も、ほぼ奪われました。以降、ハリ治療は週1回、気休めとマッサージを兼ねて続けました。

2009/5/E 針治療を終了

ハリ治療を終了。合計67回の治療をうけました。


東京近郊の病院ごとに受けられる治療の種類まとめ

突発性難聴の発症時に入院して受けられる治療を、病院ごとにまとめると

日本大学駿河台病院(今回入院した病院)

ステロイド点滴、デフィブラーゼ点滴

東京医科歯科大病院(電話で確認したのみ)

ステロイド点滴、高圧酸素療法(二週間の入院で治らなかった場合)、星状神経節ブロック(耳鼻咽喉科としては推薦しない)

荏原病院(診察を一度受けたのみ)

ステロイド点滴、高圧酸素療法、星状神経節ブロック
完全予約制の代わりに、待ち時間が殆ど無く受診できる

横浜労災病院(今回通院した病院)

ステロイド点滴、高圧酸素療法
星状神経節ブロックは、別の場所にある「かげしまクリニック」を紹介(入院中は無理?)
基本的に予約制だが、予約しても1時間待ちは当たり前で、予約無しだと、受付終了直前に行っても(こうするのが待ち時間最短)2〜3時間待ち

慶応大学病院(診察を一度受けたのみ)

ステロイド点滴、ステロイド鼓室内注入(希望者)、その他は不明
初診は予約が出来ないが、初診専門の先生が2人応対していた。一時間半程度の待ち時間であった。



高圧酸素療法が受けられる病院は限られてるようですが、調べてみると結構あります。

東京では、「東京医科歯科大学病院」、「荏原病院」、「日本医大病院」、「東芝病院」、「牧田総合病院」など。神奈川だと、「横浜労災病院」、「北里大学病院」、「東海大学病院」などです。


突発性難聴かなと思ったらすぐにすべきこと

突発性難聴は、発症してから出来るだけ早く、大学病院のような大きな病院で診察を受け、極力、入院しての治療を受けること。

こうすれば、初期の症状か軽ければ、完治の可能性が有るようです。重症な場合は、それでも治らない可能性は高いですが、治る人もいるようです。

難聴も、軽度の場合は、自覚症状が無い場合が有ります。片耳の聴力が少し低下したくらいでは、気付かないのです。

1番分かりやすいのは電話。大抵の人は、利き腕と反対の耳で電話を聴くことが多いですよね。それを、たまには反対で聴いてみるのです。これで明らかに聞こえ方が違ったら、聴力が低下しています。

両耳の聴力が低下するのは、年のせいかもしれませんが、片耳の場合は、明らかに病気ですから、すぐに病院に行きましょう。

ステロイド治療は、何処でも受けられますから、プラスして、高圧酸素療法や星状神経節ブロックを同時に受けられる病院が望ましいです。

まずは、設備の必要な、高圧酸素治療の受けられる病院から絞って行くのがいいと思います。


突発性難聴の名医など存在しない!

突発性難聴は、治療方法が確立されておらず、特に、名医などもいません。症状の軽い人にはステロイドが効くという以外は、当たるも八卦。危険のない範囲で、いろいろやってみるしか有りません。

よく、ネットの質問コーナーで「突発性難聴の名医を教えてください」という問い合わせをしている人がいますが、突発性難聴に名医など存在しませんから、人の書き込みをあてにして、ゆっくり探している場合ではありません。

医者にできることは、ステロイドの点滴を指示することと、それで治らなかった患者に、もう治らないから諦めなさいと言うことだけです。

それ以外の治療方法は、効くと言う医者もいれば、効かないと言う医者もいます。

実際、荏原病院は高圧酸素療法で突発性難聴治療に実績があるとして新聞で紹介されていましたが、診察を受けた際には、高圧酸素療法は必ずしも効果は無いと言われました。

もっとも、何やっても無駄だなんて、医療の放棄以外のなにものでもなく、よく恥ずかし気もなく、偉そうに断言するものだと思います。

何も出来ないなら、せめて心のケアぐらいして欲しい!


あとは、ハリ治療の効果が出る場合も有るようです。「一掌堂治療院」では、scale outからの完治実績も有るようです。その実績に加われなかったのが残念ですが。


  

院長のお書きになった本です。いきなり治療を始めるのに不安を感じる場合は、読んでみて下さい。


私の知っている範囲では、ステロイド、星状神経節ブロック、高圧酸素治療が同時に受けられる、「荏原病院」がもっとも良さそうです。

診察を受けた時は、荏原の医者は、ひどい言い方をすると思いましたが、大抵の医者は、命に関わらない、治療の難しい病気の患者に対しては、扱いが悪いことがよく分かりました。


ヤブ医者は存在するので注意!

名医は居ないのに、ヤブ医者は確実に存在するようです。

ネットでの書き込みにも、「一週間様子を見ましょう」と言われたという話をちらほら見かけます。

一週間様子を見るのは最悪です。少ない治療の機会を捨てることに等しいです。そんなことを言う医者は見限って、自宅周辺のなるべく大きな病院の設備から絞って病院を探して行きましょう。

僕の知る限り、江原病院は、症状を話すと、すぐに最短日程で予約を取らせて貰えました。慶応大学病院は、外来専用のお医者さんが待機しています。

その他大きな病院では、いきなり初診で行くと、高い初診料を取られたり、待ち時間が非常に長かったりする可能性が高いですが、それでも、設備の整った大きな病院に入院して治療するのがベストです。

どう探して良いか分からない場合は、取り敢えず、市民病院などに行けば、適切な病院を教えてくれたりもします。大きな病院には、地域医療連携センターというものが有って、自分の病院には設備が無くても、ここに行けば良いよという情報を貰えたりするのです。


僕の知り合いに、逆に、脳腫瘍を突発性難聴難聴と誤診された方もいらっしゃいました。そのおかげで治療が遅れて大変な目にあわれています。

これも、完全にヤブ医者です。脳腫瘍による圧迫で聴力が低下するのと、突発性難聴は明らかに症状が異なったはずだし、重篤な症状だったのですから、MRIの検査もすべきでした。


突発性難聴は、ある時一瞬にして聴力を失ったり、大幅に低下するので、他の病気との区別は、かなりシンプルです。病気を知ってさえいれば。


生命に関わらない、治療法の確立していない病気の患者に対して、医者は冷たい

片耳が聞こえなくたって、生活には何の支障も有りません、なんて、健康体の医者が、知ったかぶって言ってきますが、支障がない訳がありません。症状に依っては、かなりあります。

健康な体が一瞬にして奪われて、且つ、片耳だけ聞こえない状況も、耳鳴りなんてものも、ことの大変さは周りには分かって貰えず、口にはしなかったけど、一時は、死んでしまいたいとさえ思ってしまう程の辛さを、医者は全く理解出来ていません。

結果として、治癒の可能性0%という、医者の言うことは正しかったわけですが、ここまでやれば、諦めもつこうというもの。諦めるには、これだけの時間が必要だったとも言えます。

なにせ、1シーズンに20日間も、コブ斜面を求めて片道5時間ほど車を飛ばしてスキーに行っていて、体力に関しては絶大な自信を持っていた僕が、こんな、ちょっと運動するのに苦労する体を受け入れるのは、並み大抵のことでは無かったのです。

もっと大変な思いをしている人もいるんだから、という人もいますが、元気付けのつもりなのでしょうが、それはそれです。

アフリカで飢餓で亡くなって行く人がたくさん居るからといって、生きてる全ての人が、幸せを感じる訳では無いのですから。

それに、見た目が健康であるが故に、周りが気付いてくれず、苦労することが有るのです。左側から小声で声を掛けられたりしても、全く気付きませんから。


頑張って治療しても治らなかった時は。。。

僕の場合、結局、左耳は、ベースやバスドラムみたいな超低音を除いて、全く聞こえません。

耳鳴りは、右から聞こえる音の大きさにほぼ比例して、サーというかザーというかの音(時にはピーッ)が聞こえます。特に人混みや雑踏で聞こえる雑音や、パソコンのファンの音などに、敏感に反応します。

左耳が聞こえないことによる声の聞こえる角度の狭さと耳鳴りのせいで、会議などは、相変わらず辛いです。皆の話を聞きとるには、かなりの集中力を要するため、すぐに疲れてしまいます。

居酒屋なんて行ったら、耳鳴りの酷さで、すぐに気分が悪くなってしまうかもしれないので、全ての飲み会をお断りしてます。寝ている時は、全く聞こえないので、寝てる時が1番幸せかも(^^;;

めまいは、頭を強く振らなくても、左耳を下にするような角度だと、よくない時があります。平衡感覚も元には戻らず、よくフラフラしてます。


スキーでコブ斜面をガンガン滑るなんて有り得ないので、もう引退です(>_<)

自分がバランスを崩して怪我するだけならまだしも、左からの接近に全く反応出来ないので、他人と衝突する危険が、かなり高いですから。

下手したら、他人の命を奪いかねません…


まあ、いい年だし、生活を変えろってことなのでしょう、きっと。

マラソンに挑戦です(^ ^)


http://d.hatena.ne.jp/narinarissu/20081109
リアルタイムの治療記録は、こちらから、というか、このブログ自体が、ここから始まっています。


http://d.hatena.ne.jp/narinarissu/20090521/1242903161
ハリ治療の、一掌堂治療院については、こちらでも紹介しています。

追記1

私自身は、抗ウイルス薬のバルトレックスも効果無しだったのですが、こちら、コメント頂いたケリーさんのブログですが、バルトレックスで効果が出たそうです。
参考になる方がいらっしゃるかもしれないので、勝手ながらご紹介させて頂きます。

第8神経内耳へのヘルペスウィルス感染症?高音漸傾型 突発性難聴の治療記録ブログ
http://heartland.geocities.yahoo.co.jp/gl/emiminari

お悩みの方は、一読されては如何でしょうか。

追記2 救世主となるか!?「上頚神経節ブロック」

突発性難聴を即効で治しました | 日常損傷病学

星状神経節より患部に近い、上頚神経節へのブロック注射が効果絶大との医師の報告が有ります。

当時は聞いたことが無かった治療法ですが、しっかりと医師の説明を聞いた後、受けてみる価値はありそうです。

良かった(^ ^)

取り敢えず、後輩は、突発性難聴ではなかったようです。オージオグラムは正常で、診察結果も問題無し。耳鳴りと、違和感があるとか言ってるのが心配です。僕のことがあるから過敏になっているだけだと良いのですが。


もっとも、病気に対して鈍感になるくらいなら、少々なら過敏なくらいの方が良いでしょうね。


念のため、頭部MRIの予約はしてきたとか。


健康に気をつかっていても、病気を防げないことがある事は、自分がよく知っていますが、気を付けてとしか、言いようがないです(^^;;